個性的な商業施設・ショップのリサーチメモ

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ショップリサーチの備忘録・感想_φ(・_・

vol 5.ぽんしゅ館越後湯沢店《新潟県越後湯沢市/2017.03.07》

とにかくモノが売れない(と言われている)。百貨店やアパレルが相次いで減益を発表し、リアルの店舗を次々に閉店を余儀なくされている。ネットなど販売チャネルも広がり、今やリテールや店舗の在り方自体が問われている。そんな現状の中、朧ながら一つの答えが「コト消費」という事になる。ただ、漠然と「コト消費」と言われても具体的な展開はなかなか見えていないが、「ブランド体験」というキーワードを良く聞く。では「ブランド体験」とはなんだろうか?そんな状況で今回のレポートは新潟県越後湯沢駅構内にある「ぽんしゅ館越後湯沢店」。

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実はここを訪れるのは2回目である。昨年、越後湯沢駅を利用した時に初めて寄る機会があった。新幹線発車までのほんの20分弱。もちろんそれでは完全に消化不良。そこで今年は1時間以上の余裕を計算し一年越の再挑戦となったのだが、実際はまだ足りなかった。しかも自分はポン酒よりもビール派なのに、だ。
さてここの構成は、500円でおちょこ5杯の飲み比べゾーン(「日本酒のガチャガチャ」と表現しているブログも…)、アテにはさまざまな塩が数十種類、おちょこなど酒に纏わる雑貨達。
もちろん酒だけじゃない、魚沼産米を使った人の顔程ある「爆弾おにぎり」、お菓子の試食だってケチケチしない。そう正に新潟の「ブランド体験」なのだ。

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 そもそも「ブランド体験」とは、実際に商品に触れ、その価値やストーリーを顧客に伝えることとされている。今のユーザは「安い」という理由だけでは購買には至らない。いかに顧客心理に「買う理由」を動機付けるか?が課題となっている。自分は商業施設を作る側なので、顧客が実際に店舗に「足を運ぶ理由」を作らなければならない。
また、顧客もコトを体験するだけでなく、SNSによる情報発信者として、こうした体験を「みんな」で共有し、新たな価値として広めていく役割も担うようになっている。口コミ(SNS)で評判が広がりプロダクトの価値も高まる。「個」から「みんな」へ商品価値を広げていく。「良質なプロダクトやサービス」がブランドの差別化要素として支持された時代から、「時々のニーズにマッチしたプロダクトやサービス」が高く評価される時代へとマーケティングの重心が移ったとする記事もある。
そうまさに、企業にとっても、顧客にとってもここにしかないブランド体験の「場」の設計が重要なのだ。
そこでこの「ぽんしゅ館」だ。これを体験しようと思ったら「店舗」に足を運ばざるを得ない。新潟というブランドのブランド体験はここでしかできない。だから訪れた顧客もここで何かをしたくなる。(呑んだり、食べたり、買ったり、誰かに伝えたり…)
今後MDに迷って「ブランド体験」の原点に立ち返る事が必要になった時、この店舗を思い返すような気がするのだ。